導入事例

Chromebook

鹿児島実業高等学校
余裕と時間を生み出すためのICT~ 2OSを比較して感じる Chromebook™ の良さ~

#1人1台#Chromebook#iPad#2OS
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iPad と Chromebook の2OS運用に不安を抱かれながらも Chromebook の導入に踏み切られた「鹿児島実業高等学校」様。 2OS運用の結果をはじめ、Chromebook を選定した理由、ミカサ商事への評価、Chromebook 活用方法などについてお話しいただきました。

学校詳細

鹿児島実業高等学校は、校訓「不屈不撓」の信念のもとに、産業立国の担い手として、誠実にして、忍耐強い産業人の育成を目標に、大正5年10月19日に創立されました。本校には文理科・普通科・総合学科の3つの学科があり、それぞれ各科の特色を生かした教育を展開しています。文理科では、難関大学への進学を視野に入れた学習指導に力を入れ、普通科では柔軟性のあるカリキュラムで勉強も部活も両立し、総合学科では進学と就職、両方に生きる学びを提供することで将来の可能性を広げています。伝統を重んじつつも、時代のニーズにあわせた新しいことにも挑戦する精神を大事にし、約1,500名の生徒が生き生きと輝ける環境を整えています。

学校名 学校法人川島学園 鹿児島実業高等学校
住所 〒891-0180 鹿児島県鹿児島市五ヶ別府町3591番3
TEL 099-286-1313
FAX 099-281-0531
HP https://www.kajitsu.ac.jp/

お話をお聞きした先生

安楽様の顔写真

安楽 健太先生

端末導入や校内での活用研修など校内のICTを推進しており、物理の教員として授業を担当しながら校内ICTの管理を一人で担われている。

学習者用端末に Chromebook を選定した理由

コストを抑えながら、社会で役立つスキルが身につけられる Chromebook

インタビュアー:Chromebook を選定された理由について、お聞かせいただけますでしょうか?

安楽先生:本校は3つの学科があり、難関大学・国公立大学入学を目指す「文理科」、勉強・部活の両立を目指す「普通科」、そして今回 Chromebook を導入した「総合学科」は、専門学校等に進学する生徒もいれば、高校卒業後は就職するような生徒がいる学科になっています。端末は「文理科」と「普通科」に iPad を導入しているのですが、同じように「総合学科」に iPad を導入するべきかどうかは議論を重ねていました。社会に出れば、タイピングスキルは必要ですし、Office(※1)を使って仕事することが多いと思うので、キーボードが搭載されていないこと、アプリベースで作業することを考えると、iPad では社会で活用できるスキルが身につかないのではないかと考えていました。

インタビュアー:iPad にキーボードを付けることは、検討されていなかったのでしょうか?

安楽先生:Apple 純正のアプリである Pages や Numbers、Keynote 等は、Office とは操作性がかなり違うという印象で、先ほどお話しした通り iPad ではスキルが身につかないと感じたので、iPad にキーボードを付けることは考えていませんでした。また、キーボードを付けるとさらにコストがかかりますよね。キーボードが搭載されており、Office アプリを使って作業する Windows も候補に挙がりましたが、見積をとった際に、キーボード付きでMDM(※2)も含めて一番安価だったのが Chromebook でした。「文理科」「普通科」に導入している iPad は、mobiconnect(※3)のMDMを契約しているのですが、買い切りではないので毎年費用がかかります。Chromebook は端末価格が安価だということに加え、MDMが買い切りであるため価格を抑えることができます。また、Chromebook と親和性の高い Google Workspace for Education(以下、Google Workspace と表記) の Google ドキュメント™、Google スプレッドシート™、Google スライド™は Office と遜色なく利用できます。非常に手頃な価格で導入でき、社会で役立つスキルを身につけることができるので、導入端末は Chromebook の一択でした。

※1 Office (現:Microsoft 365):Microsoftが提供するクラウドベースのサービスおよびソフトウェアスイート
※2 MDM(Mobile DeviceManagement):モバイルデバイスのセキュリティと管理を行うことができるツール
※3 mobiconnect:インヴェンティット株式会社が提供するMDM

立ち上がりが速く、軽い動作で使える Chromebook

インタビュアー:事前アンケートに「クラウド上のデータを扱うため、立ち上がりが早く動作が軽い。 」という点も Chromebook を選んだ理由の一つに挙げられています。

安楽先生:そうですね。Windows は内部ストレージにデータを保存するので、使用するにつれて動作が重くなってしまいます。一方で、Chromebook はクラウド上で保存するため、端末自体が重くなることがほとんどなく、3年間使い続けてもスムーズに動作すると考えています。

「タブレットとしても使える」‥機種選定のポイント

インタビュアー:他には、機種の選定理由に「タブレットとしても使える」ことを挙げていただいております。詳しくお話をお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:本校ではロイロノート・スクール(※4)を導入しているので、授業でロイロノートを使うことがあります。キーボードを使用して文字を打つこともあるのですが、ロイロノートを使用する際は、画面に直接文字を書いたり、タッチアンドドラッグで操作したりするので、タブレットとしても使えるほうがいいという意見があり、選定基準の1つとして考えていました。

※4 ロイロノート・スクール:株式会社LoiLoが提供するクラウド型授業支援アプリ

Chromebook 導入前に抱えていた不安

具体的な活用イメージがわかない

インタビュアー:Chromebook 導入前に抱えられていた課題および不安についてお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:具体的な活用方法がわからないこと、先生方が使ってくれるのかということを不安に感じていました。そもそも、本校では Chromebook を持っている教員、ChromeOS™ を使用したことがある教員が誰もいなかったので、授業や校務などでどのように使うのか誰もいいアイデアが浮かばないという状況でした。

インタビュアー:導入するまで Chromebook を使ったことがなかったとのことですが、今まで使ったことがないものを導入することへの不安はなかったでしょうか。

安楽先生:それはありましたね。ですが、多くの人が使っているものが使いづらいことはないだろうと思いましたし、知らないからといって拒絶することはやめなければいけないので、とりあえず使ってみようと思いました。あまり不安はなく、どちらかといえば新しいものを使いたいというわくわくのほうが多かったですね。あとは、管理職の先生方の後押しも端末導入にかかせませんでした。私のスキルを信頼してくださり、すべてを一任してもらったことも大きかったように思います。

生徒指導上の問題

安楽先生:他には、生徒指導上の問題が起きるかもしれないという不安もありました。例えば、授業中に授業とは関係ないものを調べるとか、カメラ機能を使っていたずらしてしまうとか、盗難・紛失、破損などを心配していました。ですが、生徒指導上の問題はほとんど起きていないので、安心しています。

iPad と Chromebook の2OSの管理

インタビュアー:事前アンケートで、「iPad と Chromebook の2OSの管理ができるのか不安」 ということも伺っております。詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:先ほどお話しした通り、「文理科」と「普通科」の2つの学科に iPad を導入しているのですが、その2つの学科はそのまま iPad を使い、「総合学科」のみ Chromebook を導入することになったんです。端末の管理は、私1人で対応しているので、2OSの管理ができるのかという不安がありました。iPad の導入時に非常に苦労したこともあり、初めての Chromebook はどのように管理するのかということが心配だったのですが、iPad と比べると非常に簡単に管理できたので、特に苦労することはありませんでした。

Chromebook 導入に対する先生方の反応

ロイロノート、Google Classroom を進んで活用される先生方

インタビュアー:導入前・導入後の Chromebook に対する先生方の反応はいかがでしたか。

安楽先生:楽しみ半分、不安半分といったところでした。いよいよ「総合学科」にも端末を導入するということで、わくわくした人も多かったですし、「何に使うの?」という少し冷めた反応の人もいました。Chromebook の導入を楽しみにしていた先生方は、導入後、ロイロノートや Classroom などを進んで活用されています。楽しみにしていた先生は、とにかく使いたいという様子で、ロイロノートでクイズ形式のような授業を展開したり、Classroom を使って課題や資料などを配信したりされています。校内の活用を進めるために、進んで活用している先生方からの情報共有の場を設けることも考えていますが、そのような場をわざわざ設けなくても、先生同士で「こんな使い方できたよ」という会話がよくあるんです。意外とそういう井戸端会議のような場面のほうが、会議や研修などを開くよりも、ざっくばらんに話せていいのかなと思うので、これは今後も続けたいと思っています。

インタビュアー:先生方がざっくばらんに話せるというのは、どのようなことが要因になっていると思われますか。

安楽先生:普段からコミュニケーションをよく取っているからこそ、そのような雰囲気が生まれるのだと思います。ICT化が進んだことで、直接会話しなくても連絡ツールを使えば情報共有ができるので、少しコミュニケーションが希薄になってしまっているという事実もあるのですが、私が直接先生方のもとへ足を運んで、活用状況や困りごとについてお聞きしています。直接コミュニケーションをとることは、ICT活用を進める上で大事だと思っています。

インタビュアー:Chromebook の導入に不安を感じていた方やあまり活用できていない方には、安楽様がお声がけされながら、活用を進められているということですね。

安楽先生:そうですね。端末を活用できるか不安な先生は、まず端末を使ってもらうことから進めています。できるだけ先生方のサポートに入ろうと思っているので、授業がない空き時間はできる限り端末操作が不安な先生のところに行き、活用のサポートをしています。

ミカサ商事への評価

弊社の提案を採用いただいた経緯と理由

インタビュアー:弊社の提案を採用いただいた経緯と理由について、お聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:当時の総合学科の科長と端末導入を検討し始めた時期に、ミカサさんから Chromebook を提案いただいたんです。誰1人 Chromebook を使ったことがなかったので、Chromebook がどのようなものか知るためにミカサさんから Chromebook をお借りしました。当時は Google Workspace を知らず、ドキュメントもスプレッドシートもスライドもない、ただ検索するだけの状態で使用していたので、あまり Chromebook の良さを理解していなかったですね。

インタビュアー:Chromebook をレンタルした当時は、こういう使い方ができるというイメージがわかなかったということでしょうか。

安楽先生:そうですね。Google Workspace のアカウントを取得した後、お願いしてもう一度借りたんです。そのときに Google Workspace と Chromebook の相性の良さや、 管理画面の使い勝手の良さ、Chromebook の使いやすさを感じて Chromebook を導入することとなりました。あとは、ミカサさんの導入実績と親身なサポートですね。色々質問をしても、ほとんどのことはすぐに回答をもらえますし、もし回答が得られなかった場合でも調べてくださって数日以内には返事をいただけます。その姿勢も非常に助かりました。

弊社の納品に関する評価

インタビュアー:弊社による納品に関する全般的な評価について、お聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:導入の半年前から全体の流れが把握できたことが良かったです。営業の方が、いつまでに Google Workspace を契約しないといけない、この設定をしておかないといけないというようなことが全て書かれたタイムスケジュールを提示してくださったので、今何をすればいいかがよくわかりました。本校にとって無理のないスケジュールを組んでくださりましたし、定期的に進捗の確認をしていただいたので、安心感がありました。

導入して感じた iPad と Chromebook の違い

端末導入時の設定作業における違い

インタビュアー:貴校では iPad と Chromebook の2OSを運用されていますが、iPad と Chromebook の運用における差異について、どのように感じられているのでしょうか。

安楽先生:端末導入は、Chromebook のほうが iPad よりも楽でしたね。iPad 導入初年度は、端末自体を導入したことがなく、よくわからないという状況だったので大変でした。iPad の導入では、校内Wi-Fiに1台1台繋ぐという作業を私1人でしていました。導入初年度は100台程、翌年度は190台程の対応をしていました。そのさらに翌年度は、iPad 200台と Chromebook 300台で計500台になり、私1人では対応できなくなったため、マニュアルを作成し複数の教員に対応してもらいました。iPad は端末を利用できるまでにいくつか設定する必要があり、非常に時間がかかるのですが、Chromebook は Google のアカウント情報を入力すれば端末を利用できるので、時間がかかることなくすぐに作業が終わりました。

電話のつながりやすさ、手間の少なさ‥故障時の対応の違い

インタビュアー:iPad と Chromebook の故障時の違いについて、どのように感じられているのでしょうか。

安楽先生:Chromebook の初期不良の割合はかなり低いと感じました。故障時の iPad との大きな違いとして、一つは電話の繋がりやすさですね。Apple は学校に限らず、一般の方も製品を持っている方が多いからなのか、なかなか電話が繋がらないことが多く、電話が繋がるのに1時間程かかるんです。Chromebook の場合は、すぐに担当の方が出てくださりますね。あとは、端末を学校の管理状態から外すデプロイメントの作業も、Chromebook はボタン1つで完了しますが、iPad の場合は、MDMから外して、Apple School Manager(※5)で設定してというように手間がかかるという違いがあります。

※5 Apple School Manager:Apple が教育機関向けに提供する教育関連のデバイス管理、アプリケーション管理、教材の提供などの支援ツール

管理方法のわかりやすさ‥管理における違い

インタビュアー:アカウントや端末の管理における iPad と Chromebook の違いはいかがでしょうか。

安楽先生:管理においては圧倒的に Chromebook のほうが、管理画面がシンプルで使いやすいですね。iPadは、MDMだけじゃなく、Apple School Manager での設定も必要なんです。例えば、新しくアプリをインストールする場合、Apple School Manager でライセンスを購入して、MDMで設定を施してから、インストールする端末を選んで配信しなければなりません。すぐに情報が反映されればいいのですが、上手く反映されない端末もでてきたりして、スムーズに作業が完了しないんです。Chromebook はクラウドベースで全てブラウザ上にツールがあり、アプリをインストールする必要がないので、管理がしやすいと感じています。

Chromebook の活用方法

探究学習での活用

インタビュアー:では次に、Chromebook の具体的な活用方法についてお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:総合的な探究の時間などで行う探究学習では、必ず Chromebook を使うようにしています。探究学習というのは、生徒が自分で課題を設定して、その課題について調べ、まとめてプレゼンするという授業です。以前は iPad で行っていたのですが、やはりハードウェアキーボードとソフトウェアキーボードでは作業の効率が全く違いますね。ハードウェアキーボードがある Chromebook で作業を行うほうが効率的だと思います。iPad は、画面半分をキーボードが占めてしまうので、調べるのも効率が悪いですし、プレゼン資料を作成する際も PowerPoint やスライドなどの操作がしにくいと感じています。ハードウェアキーボードが付いている端末は非常に使いやすいと感じているので、探究学習は必ず Chromebook を使ってくださいと先生方に伝えています。探究学習では iPad は使いにくいので、パソコン室の端末で作業をしていたのですが、Chromebook を使うようになり、教室だけで探究学習の作業が完結する状態になったのは、非常に良かったです。

鹿児島実業高等学校の授業風景 鹿児島実業高等学校の授業風景
Chromebook を活用した授業の様子

教材を電子化しペーパーレスに

インタビュアー:事前アンケートにて、教材を電子化されていると伺っております。こちらについて、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:先生がそれぞれ作られているプリントや板書ノートなどをPDFにして、Classroom や Classi (※6)で配信することでペーパーレス化しています。他には、英語や社会の授業でロイロノートのクイズ機能を使って、小テストを行っています。その小テストの結果は、即座にスクリーン上に映し出されるので、生徒はすぐに自分の結果を認識することができます。

インタビュアー:このような活用は、先生方がそれぞれ工夫されて進めていらっしゃるのでしょうか。

安楽先生:はい。ICTが得意な先生や好きな先生は、自主的に進んで活用されています。どこかから情報収集するということもしているのでしょうが、基本的には先生方ご自身で試行錯誤されていると思いますし、活用を進めるためには、やはりまずは使ってみることが必要だと個人的には思います。これはいまいちだったな、これは良かったなという結果は、実際に使ってみて生徒の反応を確かめないとわからないと思うんですよね。どんなに素晴らしいICT活用の参考資料を読んだとしても、それが本校で効果があるのかというのはやってみないとわからないですから。ICTが得意な先生や好きな先生はとにかくトライアンドエラーで恐れず活用しているという印象が強いですね。

※6 Classi:Classi株式会社が提供する授業・学習支援クラウドサービス

各専門分野にわかれた授業で Chromebook の本領を発揮

インタビュアー:事前アンケートにて、「2年生以降、各専門分野にわかれ、それぞれの特色を生かした活用ができるように議論を重ねていきたいと考えている」と伺っております。詳しくお話をお聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:本校の「総合学科」は、元々商業や工業のような専門的な学科が合併してできており、公務員系列や、電気系列、情報ビジネス系列など10個のコースからなっています。2年生以降は各コースにわかれて専門的な授業を受けるのですが、そのような授業のほうがより Chromebook を本格的に活用できると思っています。5教科の授業では、iPad でもできるような活用にとどまっているのですが、例えば、情報ビジネスやマルチメディアという系列では、ITパスポートの検定やHTMLを書くのに端末を使用しています。これまではパソコン室の端末で作業する必要があったのですが、Chromebook を使えばそれぞれの教室で作業ができますし、これまで Excel で作業していたものをスプレッドシートに替えれば、共同編集で同時に作業することができるなど、様々な面白い使い方ができそうだと思っています。2年生以降のほうが、Chromebook の本領が発揮できると私は確信しているので、今後取り組んでいきたいと考えています。

Google Workspace を楽しく学ぶ‥校内で実施された活用研修

インタビュアー:導入から約2ヶ月程でここまでの活用をされているのですね。活用を進めるために校内への研修などは行われたのでしょうか。

安楽先生:導入する前年度の3月に私が講師として研修を行いました。営業の方から Google Workspace についてお聞きして、自分でドキュメントやスプレッドシート、スライドを試してみて、共同編集機能が一番使える機能だと感じたので、そのような内容を含めた研修資料を作成し、あまり堅くならないような雰囲気で研修を行いました。

インタビュアー:3月と言いますと、ただでさえ忙しい時期だと思いますが、お一人でされていたのですね。

安楽先生:そうですね、片手間ではありましたが、楽しみながら研修を行うことができました。 Google Workspace を使いながら、先生方は童心に帰ったような雰囲気で面白かったですね。やはり、Google Workspace で遊んでみようという気持ちで、楽しみながら使うことが1番だと感じました。

ICTに関する展望

余裕を生み出すための効率化

インタビュアー:貴校のICTに関する展望について、お聞かせいただけますでしょうか。

安楽先生:ほとんど私の個人的な意見なのですが、 ICT化というのは効率化だと思っています。教育現場というのは、教員も生徒もとにかく忙しいんです。プリントの提出や学習資料なども全てICT化すれば、効率化して整理整頓できますよね。ICTで効率化することで余裕を生み出し、そこで生まれた時間で、生徒と向き合う時間を大切にしていきたいと思っています。ICT化の1つの目標として、余裕と時間を生み出すということがあると思いますね。

インタビュアー:今、効率化できていないと感じられている部分はどのようなものがありますか。

安楽先生:プリント類の提出です。書類やアンケートなどは紙である必要はないと思っています。例えば、アンケートは Google フォームを活用すれば、スプレッドシートで自動集計できるので、効率化できるのであれば活用していきたいと思っています。生徒に提出してもらう課題などは、紙に書かせるほうが学習効果が高いので、そこはICT化せずに紙に書いたものを写真に撮ってもらい Classroom で提出してもらうこともできますよね。Classroom で提出してもらえば、提出物と生徒の名前が紐づき、誰が提出していないかを把握できます。未提出者の確認にかかる作業を効率化できると考えています。

ICT化によって広がる選択肢

インタビュアー:他には、どのようなことを考えられているのでしょうか。

安楽先生:今までは自己表現の幅が少なかったと思うのですが、ICTを使えばこれまでと違った表現もできると思っています。授業であまり発言しない生徒も、ICTを使えば自分の意見を主張することができます。また、端末を導入したことにより、学習方法を選べるようになりました。今までは紙で勉強するしかなかったですが、端末を使って勉強したい生徒もいるかもしれません。必ずこの手法がいいというのはないと思っているので、それぞれ個人にあった学習方法を選べるといいですよね。昨今の教育界の流れとして、ICT化は進めていかなければならないという雰囲気で、何でもICT化しないといけないという方向に進んでいると思います。ですが、紙でもできることをディスプレイ上でやる意味はないと思います。例えば、数学の問題は、端末を使って問題を解くよりも、B4サイズの大きい紙で試行錯誤したほうが学習効果が高いと思います。一方で、物理の授業のようなシミュレーションを見せる必要がある授業では、ICTを活用することが大事だと思います。全てデジタル化するような思考停止の状態になることなく、デジタル化したほうがいいもの、しないほうがいいものを1つ1つ見極めることが必要だと思います。デジタル化することで学習効果が高まるものを探して、それを学校生活に取り入れれば、より良くなっていくと思いますね。本校では産業人材育成、今でいうデジタル人材の育成を以前より掲げています。ICTを使い学力を伸ばすことも目的の1つではありますが、ICTを日常的に活用することで社会で役立つ能力を育成していきたいと考えています。

学習者用端末として1人1台の Chromebook を導入し、iPad と併用して端末活用を進めている鹿児島実業高等学校様。Chromebook と iPad のそれぞれの特性や長所、そしてその活用方法についてお話しいただきました。このたびは貴重なご意見や情報を共有していただき、誠にありがとうございました。

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