導入事例

Chromebook

学校法人金蘭会学園 金蘭会高等学校・中学校
生徒の将来を見据えて選んだ Chromebook 。1人1台先進導入校が決断した端末切り替え

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COVID-19 への対応をきっかけに導入端末を見直し、タブレットから Chromebook への切り替えを行われた
「金蘭会高等学校・中学校」様。
「iPad から Chromebook へ切り替えた理由」「使って見て感じた iPad と Chromebook の違い」「Chromebook 活用」「今後の展望」などについてお話いただきました。

学校詳細

金蘭会高等学校・中学校は、今から117年前の1905年、女子教育の機会を拡充したいという若い女性たちによって創設されました。現在、建学の精神にある「社会に貢献する自立した女性」になるために必要な資質・能力を「KINRAN PRIDE」=5つの力(学ぶ力、考える力、解く力、行動する力、認め合う力)と名付け、あらゆる教育活動を通じて生徒が獲得できるよう努めています。教職員一同、生徒の「学力」と「可能性」、そして「社会に参画する力」をしっかり伸ばし、「自立した素敵な大人」への成長を全力でサポートします。

学校名 金蘭会高等学校・中学校
住所 〒531-0075 大阪市北区大淀南3-3-7
TEL (06)6453-0281
FAX (06)6455-7531
HP https://www.kinran.ed.jp/

お話をお聞きした先生方

岡田正次校長

岡田正次 校長

2018年に赴任され、校内の ICT 化を推進。赴任前は、大阪府立東淀川高等学校や大阪府立桃谷高等学校などの府立高校の校長を歴任された。

積川淳一先生

積川 淳一 先生

情報教育課の一員として、端末導入をはじめとした校内の ICT 活用を推進。教科は英語を担当されており、授業の合間を縫って ICT 環境を整備されてきたとのこと。

iPad から Chromebook への切り替えまで

2007年 ●各教室の ICT 環境を整えることを視野に入れ、校舎の建て替えが行われる
2015年 ● 学習者用端末として1クラス分の iPad(共有用)を導入
2016年 ● 学習者用端末として1人1台の iPad を導入
2019年 ● PC 教室の端末が Windows PC から Chromebook に切り替えられ、Chromebook(43台)が導入される
● Google Workspace for Education(以下「Google Workspace」と表記)を導入
2020年 ● COVID-19 の対応がきっかけとなり、導入端末の見直しが行われる
2022年 ●iPad から Chromebook への切り替えが行われ、1人1台の学習者用端末として Chromebook(139台)が導入される

1人1台の学習者用端末導入の経緯

「他校にない魅力の1つ」として2016年に1人1台の学習者用端末を導入

インタビュアー:御校が初めて学習者用端末を導入された経緯についてお話しをお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:初めて1人1台の学習者用端末として iPad を導入したのは2016年です。前年の2015年は、試験的に1クラス分程の台数を学校で購入し共有で使用していました。充電カートで端末を教室に運んで使う、というところから本校の ICT 活用は始まっています。

インタビュアー:当時は、端末を導入されている学校様はあまりいらっしゃらなかったと思うのですが、なぜ2016年から1人1台の学習者用端末の導入をお考えになったのでしょうか?

積川先生:端末導入以前に、本校は校舎を建て替えているのですが、その際に各教室の ICT 環境を整えることも考えて、先行投資として校舎を建て替えたという話を聞いています。そのような考えをもとに、他校にない魅力の1つとして、大阪府の補助金等を活用し ICT の導入に踏み切ったということを聞いています。

岡田校長:私学としての特色作りの1つですね。「校内の ICT 環境を整え、生徒達もICT を使える」ということを、教育の1つの目標として掲げていたのだと思います。

なぜ iPad から Chromebook に?端末を切り替えた理由

費用削減、管理負担の軽減に成功‥PC 教室の端末を Windows PC から Chromebook に切り替えた結果

インタビュアー:Google Workspace の導入時期と導入のきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:2019 年度に初めて Google Workspace (当時 の G Suite )を 導入しました。導入のきっかけは、当初は Gmail™を利用するためでした。メールサーバーの更新時期が来た際に、校内に新しくサーバーを立てるのか、他のものにするのか検討していたところ、教育機関であれば無料でサービスを利用できるということからGoogle Workspace を導入しました。

インタビュアー:Google Workspace の導入と同じ 2019 年に、 PC 教室 の端末をWindows PC から Chromebook に切り替えられたと事前に伺っています。 Chromebook に切り替えられた経緯をお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:Chromebook 導入前は、 PC 教室 は生徒用のサーバーを立てて Windows PC で運用していたのですが、費用面に大きな負担を感じていました。そのため、費用削減を目的に Windows PC から Chromebook に切り替えました。 2019 年当時は、今ほど Google Workspace が広まっていなかったので、 PC 教室 もWindows PC ベースのソフトを使用していたのですが、 Chromebook の導入に伴い、Google Workspace へ移行することになりました。 Chromebook に切り替えた結果、管理面の負担も軽減されました。端末の設定を行う場合 、 Windows PC や iPad は 1 台1 台設定する必要があるのですが、Chromebook は Google 管理コンソール(※1)から一斉に設定することができます。費用面、管理面の負担を軽減でき、 Chromebook に切り替えて 良かった と思っています 。

    
Chromebook を活用した PC 教室の様子
Chromebook を活用した PC 教室の様子

教員の負担を軽減させるための Chromebook という選択肢

インタビュアー:Chromebook 導入以前抱えていた課題について、事前アンケートで「管理面の負担」と伺っています。特にどのようなことを負担に感じられていたのでしょうか?

積川先生:iPad 導入当初はあまり負担を感じて いませんでしたが 、生徒の卒業時に端末の初期化をしようとした際 、 MDM (※2)の操作だけでは端末の初期化が できなかったので、 1 台ずつ回収し端末の状況がどうなっているのかを確認する必要がありました。 ICT 担当が 2 、 3 人という限られた人数しかいないうえに、卒業の時期は 3 年生の登校日が少なく、作業できる日程が限られていたため、かなり負担が大きかったんです。そのような負担を軽減できる他の方法がないか探していたことがきっかけで Chromebook の導入検討を始めました 。

インタビュアー: 学習者用端末を Chromebook に切り替えられたのは、「端末管理における負担の軽減」が理由だったのでしょうか?

積川先生:そうですね。すでに PC 教室に Chromebook を導入していたので、端末の管理においては負担が軽減されることがわかっていました。あとは大阪府全体の流れも導入のきっかけとなりました。GIGA スクール構想の補助金や、小中学校でキーボード付きの端末が使われていることも大きな影響があったと思っています。

※1 Google 管理コンソールとは、 Google Workspace のすべてのサービスを管理することができるツール
※2 MDMとは、 Mobile Device Management の略で、スマートフォンなどのモバイルデバイスのシステム設定などを統合的・効率的に管理するためのサービスやソフトウェア

生徒の将来を見据えて選んだ「キーボード付きの端末」

インタビュアー:事前アンケートで、端末の選定理由に「キーボード付きの端末」を挙げられています。詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

岡田校長:iPad を導入した当時は、 生徒用端末として iPad を使っていることがステータスの1つだったのかもしれないですが、大学へ進学するとキーボード入力でレポートを作成しますよね。レポート作成の際に、キーボード入力ができない子が結構いるということを聞いていたので、情報の授業でもキーボード入力をきちんと教えていく必要があると考えていました。また、大学入学共通テストに「情報」という教科が加えられることも考えると、これからの時代キーボード入力ができることが当たり前になると思うのです。中学校でも大半の学校がキーボード入力を教えていて、多くの生徒がキーボード入力を身につけて入学してくるので、中学校で行えていたことが高校でもできるような環境を整えるべきだと考えました。これから生徒が社会に出たり、大学進学の際に、生徒達自身の勉学に支障がないようにキーボード付きの端末である Chromebook へ移行しました。

積川先生:iPad と比べると、カメラの性能は Chromebook よりも iPad のほうがいいですし、iPad のほうが軽いです。Chromebook は iPad の2倍近く重く感じてしまいます。そのようなところは iPad のほうが優れていると思いますが、将来に必要な最低限の力を生徒につけてもらうということを優先に考え Chromebook を導入することになりました。

インタビュアー:すでに整備されている1人1台の端末を iPad から Chromebook に変えるというのは、大きな変化であり大きなご決断だったと思うのですが、迷いはなかったのでしょうか?

岡田校長:方針としては Chromebook に切り替えるということが決まっていたので、迷いはありませんでした。ただ、コロナ禍になり、今まで iPad をあまり使っていなかった先生方も、生徒に連絡するために iPad を使用するようになっていました。コロナ禍の前に Chromebook が導入されていれば問題はなかったのですが、先生方がみな iPad を使い出したタイミングで端末を変えることになり、積川はかなり苦労したと思います。Chromebook に切り替えるメリットや将来性を職員会議で何度も議論しました。また2020年頃はコロナ禍で、中国からの物流が止まり、iPad が4月に届かないという状況もありました。生徒が端末を持っていれば、課題などをメールで連絡することができるのですが、端末が届いていなかったので、生徒への案内は郵パックで発送していました。内部進学の生徒は端末を持っていましたが、当時はまだ GIGA スクール構想もなく、公立学校も端末を配布していなかったので、外部進学の生徒は何も端末を持っていない状態でした。Chromebook でも様々な支障があったかもしれないですが、当時は大変でした。

インタビュアー:様々な困難や苦労があったことで、改めて導入端末を見直す機会になったということですね。

岡田校長:そうですね。2016年に端末を導入し、ずっと ICT に関する本校の方向性については考えていました。2020年から2022年の2年で一気に先生方がみな端末を活用するようになったことで、改めて導入端末を見直す機会になり、Chromebook への切り替えが完了しました。iPad 導入当初から端末を活用している先生は iPad に慣れているので、「iPad にキーボードを付ければいいじゃないですか」という意見も当然出てきましたが、生徒の将来のことを考えると、Chromebook という結果になりました。積川は本校の情報関係の担当をしてくれていますが、元々は英語の教員です。積川が授業の合間を縫って、ICT 環境を整えてくれたので、何とか導入端末の切り替えができたのだと思います。

保護者の負担を抑えるため‥外付けキーボードにしない理由

インタビュアー:「iPad にキーボードを付けたらいいじゃないか」というご意見もあったとのことですが、そうならなかった理由をお聞かせいただけますでしょうか?

岡田校長:iPad にキーボードを付けるとなると価格面が気になりますよね。コロナ禍では特に、ご家庭の様々な経済状況に配慮する必要がありました。また、iPad を生き延びさせることが目的ではなかったので、大半の中学校が Chromebook を使っているなら、高校でもそのまま Chromebook を使用する環境のほうが生徒にとっていいのではと考えました。保護者の負担を考えると、iPad はまだまだ高価ですし、補完するために iPadにキーボードを付けるとなると、さらに保護者の負担が大きくなってしまいます。その場だけの対応であれば、別途キーボードを付けるだけでもいいかもしれないのですが、保護者の負担などを総合的に考えた結果、キーボード標準搭載の Chromebook を導入することにしました。

インタビュアー:学習者用端末を Chromebook に切り替えた結果、保護者様の負担を抑えることができたと感じられますか?

積川先生:そうですね。導入時の端末本体に関わる価格は、iPad も Chromebook もあまり変わらなかったのですが、端末以外にかかる費用の3年間のトータルを考えると Chromebook のほうが費用を抑えることができました。

インタビュアー:「端末以外にかかる費用」というのは、どのようなことでしょうか?

積川先生:iPad の管理に関する費用です。MDM の年間ライセンス料が負担に感じたことと、初期設定に関する費用は見積もりに含まれていましたが、卒業時に必要な作業(iTunes でのリカバリー)を把握していなかったために、結果的には、卒業前の限られた時間の中で教員が対応する事になってしまいました。

端末切り替え時に感じていた不安

インタビュアー:事前アンケートで iPad から Chromebook への切り替えにあたって「今まで使用していたアプリを使用できるのかどうか」を不安に感じられていたと伺いました。詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:多くの教員から「今まで使用していた授業支援システムを Chromebook でも使うことができるのか」という意見がありました。そのような教員に向けて、iOS で使用していたアプリと同じアプリが Chromebook で利用できることと、OS に依存せずに利用できるソフト・アプリが増えてくる見通し、校務で使用している Windows PC に似た操作感等を説明しました。

ミカサ商事を選んだ理由

インタビュアー:端末導入にあたって、導入業者に弊社をお選びいただいた理由についてお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:ミカサ商事さんを選んだのは、以前から管理コンソール支援などでお世話になっているということ、あとは端末の保証等も含めて、金額面、サポート面ともに非常に良い提案をいただいたことが理由です。

実際に使ってみて感じた iPad と Chromebook の違い

管理が楽になった‥管理者が感じる iPad と Chromebook の違い

インタビュアー:端末を運用するにあたって感じられた iPad と Chromebook の違いについてお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:アプリのアップデートにおいて、iPad でよく起こるのは iOS のアップデートにアプリが対応していないということですね。管理画面から信号を送っていてもうまく反映されていないということがよく起こっていました。その状況で、端末の初期化をしてしまうと、たまに動かないアプリが出てくるんです。同じことが Windows PC でも起こっているのですが、Chromebook の場合はクラウドサービスを中心に利用しているので、アプリと OS のアップデートの不具合が比較的起こりにくいのかなと感じています。

インタビュアー:アカウント管理における iPad と Chromebook の違いについて、感じられていることをお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:iPad の管理には Apple School Manager と MDM を使っているのですが、アプリの配布など、一つの処理を行うのに、Apple School Manager と MDM で2回設定が必要なので、そこが手間だと感じています。Chromebook は管理コンソールで1回で設定できるので、非常にありがたいですし、楽になったなと思っています。

インタビュアー:Chromebook は、管理する負担が以前よりも軽減されていると感じていらっしゃるということですね。

積川先生:そうですね。それに加えて、管理コンソールではアカウント単位でもグループ単位でも設定ができるので、管理がしやすくなったと思います。ただ、 Chromebook は1台1台個別にアプリをインストールさせることが現時点ではできないので、そこが改善されればもっと色々な使い方ができるかなと思っています。

インタビュアー:インタビュアー:Chromebook は端末1台単位でのインストールができないということですが、どのようにご対応されているのでしょうか?

積川先生:強制インストールしたアプリ以外に使いたいアプリがある場合は、管理コンソールの設定からインストールを許可し、必要であればインストールできるという状態にしています。クラブ活動や特定の授業で使用したいアプリがあれば、教員から申請してもらいインストールの許可をしています。

キーボード付きの端末にしたことで根付いた「学習用の端末」という意識

インタビュアー:iPad から Chromebook への切り替えにあたって、保護者様や生徒様の反応はいかがでしたか?

積川先生:本校の生徒は元々小学校や中学校で Chromebook のようなキーボード付きの端末を使ったことがある生徒がほとんどで、学校で iPad を使っていたのは内部の中学校から進級した生徒だけでした。内部中学出身の生徒は iPad と比較して、「重い」「iPadの方が写真が奇麗に撮れる」と言うことはありますが、「Chromebook が使いにくい」という事は聞いていません。iPad を使用していた時は「画面が大きいスマートフォン」のような感覚で使っていた生徒が多かったように感じています。校内では個人所有の携帯電話・スマートフォンの使用を禁止していますが、iPad は手軽に写真撮影ができ、いつでも Wi-Fi につながって、インターネットの利用ができるので、本来の目的以外で使用したり、生徒間でのトラブルになったこともありました。Chromebook に変えてからは使用の仕方について指導することが減ったように思います。

インタビュアー:iPad から Chromebook に切り替えられて端末に関するルールは変わったのでしょうか?

積川先生:ルールは何も変わっていません。「自宅で充電する」「必要な時以外は使わない」「丁寧に扱う」ということが基本的なところです。ルールは変わっていませんが、生徒の意識が、「スマートフォンの代わりのiPad」から「授業等で使う Chromebook」に変わったと感じています。

インタビュアー:生徒様に学習用の端末であるという意識が根付いたということなのでしょうか?

積川先生:そうですね。iPad は音楽・動画・ゲーム等のエンターテイメントツールとしての印象が強かったのですが、キーボード付きの端末になったことで、より学習のために使うツールであるという認識が広まってきているように思います。特に2022年度の入学生は既に小中学校で端末が導入されていたこともあり、本校に入学する前から「Chromebook は学習用ツール」という認識があるのではないでしょうか。

端末故障時の iPad と Chromebook の違い

インタビュアー:事前アンケートで iPad と Chromebook の違いについて「故障発生数の違い」と伺っています。詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:iPad で機器の故障というのはほとんどなかったですね。故障内容として一番多いのは画面割れなのですが、修理の間は業者さんに予備機を数台用意していただき、それを代替機として生徒に渡していました。 Chromebook はどの程度壊れるのかわからないままの導入だったのですが、どうしても iPad に比べると部品が多いのでキーボードなど物理的な故障は今後も出るんだろうなとは思っています。しかし、初期不良を除いてはそれほど手間もかかりませんし、修理交換後すぐに返ってきます。ですので、特段の問題は感じていません。

教員が使う PC と操作感覚が似ている Chromebook

インタビュアー:Google Workspace を利用するにあたって感じられた iPad と Chromebook の違いについてお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:iPad と Chromebook を比べると、Chromebook のほうが Windows PC を使っている感覚とより近いと思っています。iPad と Windows PC では、同じアプリでも操作性が少し違っていたり、Google Workspace のアプリでも、スライドの配置が少しずれていることがありますが、Chromebook と Windows PC ではそのようなことはあまりないですね。

インタビュアー:先生方がよく使う Windows PC と生徒様が使われている Chromebook は操作性の乖離が少ないということですね。

積川先生:我々教員は日常業務の中で Windows PC の操作に慣れているため、画面とキーボードがある前提で生徒に指示をすることがありますが、実際の iPad では操作方法が異なるといったことが起こります。Chromebook の場合は iPad よりも PC に近い操作が出来ると思います。

授業や課題提出での Chromebook 活用

Chromebook の活用状況は?

インタビュアー:Chromebook の活用についてお話をお聞かせいただけますでしょうか。

積川先生:2022年度に入学した学年は「情報Ⅰ」という授業を1年生で行っているので、ほとんど毎時間端末を活用していて、授業の資料や課題などは Google Classroom(※3)を使って送っています。動画を見せたい時は YouTube™ を使ったり、元々 Microsoft の PowerPoint、Word、Excel を使用して行っていた作業は、Google ドキュメント™(※4)や Google スプレッドシート™(※5)、Google スライド™(※6)を使用して Microsoft のソフトを使っていた時と同じように進めています。あとは、1年生の他の授業でもオンライン交流などに Chromebookを活用しています。

インタビュアー:オンライン交流というのはどのようなことをされているのでしょうか?

積川先生:本校にはGS(グローバルスタンダード)というコースがあるのですが、そのコースの生徒が Google Meet™(※7)を使ってフィリピンの生徒とオンラインで交流を行っているんです。共通のテーマを決めて、日本とフィリピンのことをそれぞれ調べて発表するという授業を行っています。フィリピンの生徒も Google Workspace を使用しているので、慣れてくると、Google Workspace の共有機能を使い、お互いにデータを共有して一緒に作業もしています。

Google Meet を活用したオンライン交流の様子
Google Meet を活用したオンライン交流の様子
Chromebook を活用している生徒の様子
Chromebook を活用している生徒の様子
インタビュアー:情報の授業以外でも、多くの先生方が授業や課題提出などに Chromebook を使用されているのですね。

積川先生:そうですね。課題や Google フォーム(※8)を使ったアンケートなどに活用しています。また、最近では、全校(学年)集会や、始業式・終業式その他の学校行事でもオンラインでライブ配信をすることが増えてきました。本校では Google Workspace とは別のデジタル連絡ツールを導入しており、保護者の方への連絡にはそのツールを活用しています。オンラインでイベントをするという連絡や、作成した動画を YouTube の限定公開で公開し保護者の方に見ていただくといった使い方をしています。

※3 Google Classroom とは、課題などのやりとりをオンラインで行うことができる学習管理プラットフォーム
※4 Google ドキュメントとは、Google Workspace に含まれる基本無料の文書作成ツール
※5 Google スプレッドシートとは、Google Workspace に含まれる基本無料の表計算ツール
※6 Google スライドとは、Google Workspace に含まれる基本無料のプレゼンテーション作成ツール
※7 Google Meet とは、Google Workspace に含まれる基本無料のビデオ会議ツール
※8 Google フォームとは、Google Workspace に含まれる基本無料のアンケート作成ツール

金蘭会高等学校・中学校の課題と今後の展望

教員も学び続ける‥今の時代だからこそ感じる課題

インタビュアー:ICT に関して現在感じられている課題をお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:最近は技術の発達が速いので、何かができるようになった頃には、また別のことができるようになっていたり、教員が生徒に教えるだけではなく、生徒のほうが教員よりも先に新しいことを知っているという時代になってきています。可能性が無限に広がっているという意味では非常に素晴らしいことだと思うのですが、教員も常に研修をしておかないと、生徒に教えられることがなくなってしまうのではないかということを少し課題に感じています。

インタビュアー:研修というのはどのようなことをお考えなのでしょうか?

積川先生:教員も生徒も「こんなことをしたい」とか「こんなことをしている人がいる」など、新たな情報を得るために外にアンテナを張っておかないと、自分1人では発見できることも少ないと思います。周りにも目を向け、有効な活用方法があれば取り入れていきたいと思っています。

インタビュアー:先生同士の情報交換などもされているのでしょうか?

積川先生:情報交換もしていますし、何か知りたいことがあれば、各自でネットで検索をして調べていますね。自分がやりたいと思ったことは既に誰かがやっているということがほとんどで、多くの場合、動画の解説や先行事例があるんです。生徒も教員も、色々とICT 機器を使えるようになり、今までよりは調べる力がついてきたと思いますね。

インタビュアー:先生方も日々勉強し、試行錯誤されながら活用されているのですね。

積川先生:そうですね。昔に比べると学校にも ICT 関係の研修案内がかなり届くようになったと思いますし、私の耳に届いていない研修に参加している教員も複数います。必要だと思った時に、必要な研修に参加できる環境整備が大事だと思っています。

インタビュアー:外部の研修も活用しながら先生方皆さまでリテラシーを向上されているということですね。事前アンケートで「生徒が教職員の知識を超えてしまい対応できない」ことを課題に感じられているとも伺っております。詳しくお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:先ほどもお伝えしたように、今までは教師が教えるということが当たり前でしたが、これからは生徒のほうが詳しい場合もさらに多くなると思います。もうすでに生徒たちのほうが、ICT 機器などの操作を教員よりもよく知っています。教員は、使い方を生徒に教えるだけではなく、ICT 機器の利用をどのように生徒個々の成長につなげるのか、どのように情報デザイン力を鍛えるかを考えていかなければいけないと思っています。

「外との関わりを重視する」‥視野を広げてもらいたいという思い

インタビュアー:ICT に関する御校の今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか?

積川先生:「外との関わりを重視」したいと考えています。限られた環境の中で生活していると、自分がしていることが一般的なことだと思ってしまいますが、生徒には、同年代の他の人がどのように ICT を活用しているのかを知って欲しいと思っています。日本に限らず、広く世界を見た時に、新しいことがたくさんあると思うので、色々なことに興味を持って生きて欲しいですね。生徒には「地球の中で生きていく」ということを意識してもらえたらいいと思っているので、どんどん新しいことに挑戦してほしいと思っています。

(2022年7月5日取材)

生徒の将来を見据えてタブレット端末から Chromebook への切り替えを行われた金蘭会高等学校・中学校様。
授業や課題提出での活用のお話しから、教職員様、生徒様ともに ICT を積極的に活用されているご様子が伝わります。このたびは貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

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正規販売パートナー
 ミカサ商事株式会社