導入事例

Chromebook 導入

【宮崎県立日向高等学校】 生徒・教員の自主性を重視し、わずかな期間で Chromebook 活用を広めた県立高校の工夫

【宮崎県立日向高等学校】 生徒・教員の自主性を重視し、わずかな期間で Chromebook 活用を広めた県立高校の工夫

初めての端末導入にもかかわらず短期間で端末活用を推進された「宮崎県立日向高等学校」様。
「Chromebook 導入の経緯」「ミカサ商事への評価」「活用のための取り組み」「今後の展望」などについてお話いただきました。

目次

学校詳細

本校は、宮崎県の日向・門川・入郷地区唯一の普通科高校として 1975 年(昭和 50 年)に創立され、今年 48 年目を迎えます。「剛健・信愛・創造」の校訓のもと、文武両道の伝統を受け継ぎ、多くの先輩達が学業・部活動の両面で活躍しています。平成 23 年度からは地域の期待に応えるため、新たに「フロンティア科」が創設されました。ハイレベルな授業が行われる文理混合の学科で、探究活動などにより視野を広げ、自ら学ぶ姿勢を身につけられる学科です。「難関大学や難関学部に行きたい」 「勉強だけでなく部活動もしたい」「普通教科を学びながら就職したい」など、充実した高校生活を送れる学校です。 ICT を駆使して更なる進化を目指しています。

学校名宮崎県立日向高等学校
住所〒883-0021
宮崎県日向市大字財光寺6265 番地
TEL0982-54-3400
FAX0982-54-3759
HPhttps ://hyuga hs.ed.jp

お話をお聞きした先生

首藤貴幸 先生

ICT推進 委員のリーダーとして、端末導入をはじめとした校内の ICT 化を推進。ICT 推進委員の他、教務主任、サッカー部顧問を兼任されている 。

iPad から Chromebook への 切り替えまで

2020年9月 ● G Suite for Education (現在の Google Workspace for Education 、 以下「 Google Workspace 」と表記」)を導入
2021年夏 ● 学習者用端末導入の検討を開始
2022年1月 ● 宮崎県主催の「 1人1台端末の調達説明会」が開催
2022年4月 ● 学習用端末として1人1台の(Chromebook 172 台)を導入

1人1台の Chromebook 導入の経緯

管理のしやすさを考慮したBYADでの導入

首藤先生県内の高校は各校で判断し端末を導入することになっていたので 、校内で協議した結果、 BYAD (学校が指定した端末を、各家庭が購入して学習用として利用する形式)で導入を進めることになりました。

首藤先生教頭と事務長、ICT 推進 委員で話し合ったところ、初めての端末導入では生徒の端末が揃っているほうがいいだろうという結論になり、BYOD(学校が端末を指定せず自由な端末を持ち込む形式)ではなく、BYAD での 導入になりました。端末導入に慣れれば BYOD で様々な端末を導入してもいいと思うのですが、最初は管理をしやすくするために、BYAD で生徒全員同じ端末を導入することにしました。

価格負担を抑えることができる…Chromebook を選んだ理由

首藤先生一番の理由は価格です。3OS の中で ChromeOS ™ (Chromebook )が一番手頃な価格でした。端末の重さなどはあまり気にせず、出来るだけ価格を抑えられる端末を検討していました。 Chromebook について調べていくうちに、 Google Workspace との親和性や、様々なアプリケーションに Google アカウントでログインできることなどを知り、 Chromebook が良いだろうということになりました。

Google アカウントでログインするだけで自分の環境を再現できる Chromebook

首藤先生Windows PC は、普段から教職員は業務で使っているため、扱いやすさの点 で良いのではないかという意見がありました。iPad に対しては、 iPhone の利用者が多いので、使いやすいだろうという意見がありました。また、1 人1 台の端末導入前に県から各学校に端末が配布されたのですが、初めて配布された端末は iPad でした。そのため、生徒が iPad に慣れているので、 iPad のほうが良いと仰る先生もかなりいらっしゃいました。ですが、 Chromebook は端末が壊れた場合、別の端末でも Google アカウントでログインすれば、自分の環境と同じ環境で作業することができます。 Windows PC や iPad だと、そのようにはできません。総合的に考え、Chromebook が良いという結論になりました。

「キーボードの形態」「Microsoft Office との違い」…導入前に感じていた課題や不安

首藤先生キーボードの見た目の違いについて、不安を感じていました。一般的な PC には 「 Shift 」や「 Tab 」などキーボードに表示がありますが、 Chromebook には そのような表示はありません。見た目が違うため慣れるのかどうか心配でしたが、すぐに慣れて何も問題なく使えています。あとは、 Excel や Word が Chromebook でも使えるのかということと、 Google スプレッドシート ™(※1) や Google ドキュメント™ (※2) などを、Excel や Word と同じように使いこなせるのかを懸念していました。ですが、スプレッドシートやドキュメントにも Excel や Word と同じ機能があるということを先生方に理解していただけたので、すぐに解決しました。もし導入端末を iPad にしていたら、上手くできていなかったのではないかと思います。 Excel や Word は iPad で操作すると、デザインや文字が崩れたり、思うように動作しないことなどがあると聞いたので、Chromebook にして良かったと思っています。

ペーパーレス化のため、導入後すぐに端末を活用

首藤先生以前から、ペーパーレス化への取り組みで、紙ではなく Classi や Google フォーム (※3) を 活用した課題に移行したいと考えていました 。本校は普通科高校で、ゴールデンウイークなどの長期休暇に は家庭学習用の課題があります。 そのため、ゴールデンウイークまでには 1 人 1 台の端末を導入したいと考えていました。ゴールデンウィーク前に端末を導入し、ゴールデンウイーク中の課題には早速 Chromebook を活用 しました。そのおかげで、かなり紙の量が減ったと思います。課題だけではなく、連絡などを全て Google Workspace に移行している教科もあります。

首藤先生本格的に検討を始めたのは、2021 年の夏頃からです。それまではまだ先のことという認識で、導入に向けた動きは何もありませんでした。2021年の夏頃から検討を開始して、2022年の年明けに県全体に向けた業者の方によるプレゼンがあり、2月頃に導入業者を決定しました。

首藤先生勢いだけで進めたので、他校からも「もう決めたのですか」「もう導入される のですか」と驚かれました。このように心配されたので、順調に動いていますとお話したら、他の学校では納入が遅れているという話を聞きました。何があるかわからないので早く決断して良かったと思っています。本校は管理職の先生が ICT に理解があり、大いに協力してくださったので、問題なく導入を進めることができました 。

導入前後 の Chromebook に対する印象・反応

Chromebook について知っている人がいない… 校内の認知度を上げた方法とは

首藤先生導入前は、 Chromebook について知っている方は誰もいませんでした。仕事で使う端末はほとんどの方が Windows PC で、中には iPad を使う方もいるというぐらいで、Chromebook を使っている職員はいませんでした。県から Chromebook の貸与があったので、先生方に使ってみるよう促しましたが、当初は使ってくださる方はいませんでした。先生方は今使っている端末で十分だと考えられていたので、私だけが Chromebook を使っているという状況でした。

首藤先生まず Google Workspace を校内に広めてから、 Chromebook の認知度を上 げていきました。県が主催する Google Workspace の講習を受けたので、そこで得た知識を校内に共有するため、私が講師とし て校内研修を行いました。スプレッドシートや Google Jamboard (※4) の 共有など、Google Workspace で できることを、研修や職員会議で実際に使用しながら共有していくうちに、Google Workspace を使っていただけるようになりました。その後、 Google Workspace との親和性が高いのが Chromebook だということ、価格面でもChromebook に優位性があるということを 先生方に伝え、 Chromebook の導入を進めていきました。

首藤先生いらっしゃらなかったですね。特に苦労することはありませんでした。 Google Workspace を使っており、その利便性を知っているので、 Google Workspace との親和性が高い Chromebook に対しての 反発はありませんでした 。

「使いやすい」… Chromebook を活用する生徒の反応

首藤先生生徒は Chromebook を使いやすいと感じているようです。 Google Workspace は スマホから Google アカウントでログインすることができます。家で行った作業でも、学校で Chromebook を開くと、またその続きから作業することが できます。Chromebook と Google Workspace の親和性の高さや、 Google Workspace はいつでもどこでも使えるということが、生徒は良いと感じているのだと思います 。

「パスワード忘れへの対応が楽になった」… 教職員の反応

首藤先生1 年生に端末を導入してまだ1 学期しか経っていませんが、端末が統一されているので管理が楽だと感じています。端末導入前は、端末が故障して全てデータがなくなったとか、端末を紛失した、といったトラブルも発生するのではないかと懸念していたのですが、今までそのようなことは起こっていないので、不要な心配でした。他には、生徒が作った作品をまとめる作業が非常に楽で便利だと感じています。これまでは、外付けのハードディスク や USB など に保存していましたが、今で は Google ドライブ (※5)にアップロードするだけで作品をまとめることができます。また、 Classi や ENAGEED など、Google Workspace とは別のアプリも導入しているのですが、全て Google アカウントと連携しているので、パスワードや ID を忘れたとしても Google アカウントでログインすることができます。端末導入前は特に重視していませんでしたが、ログインが便利になり、生徒のパスワード忘れへの対応が楽になったのでありがたく感じています 。

導入業者選定の目線

ミカサ商事を選んだ理由

首藤先生提案していただいた機種と価格が良かったことが主な理由です。 ICT に 詳しい先生に、業者の方から提案された Chromebook のスペックを全て比較してもらったところ、ミカサ商事さんに提案していただいた機種が1番良いというアドバイスをいただきました。また、価格が1番低かったのもミカサ商事さんでした。先生の意見や価格面からミカサ商事さんで導入することになりました。

首藤先生業者選定にあたっては、大手企業から導入するほうがいいのではないかと考え ていました。提案していただいた業者の中では3社が大手企業だったので、その3社から選定しました。また、他の学校がどこから導入したかなどの情報も参考にしていました。実際、私も他校の先生から導入に関して聞かれることがあります。

提案から納品までスムーズに進められた端末導入

首藤先生全てにおいてハイレベルな対応をしていただきました。ミカサ商事さんから導入することが決まったあとすぐに営業の方から連絡がきて、導入スケジュールを提案していただきました。専用 EC サイトを通じて保護者に直接端末を購入してもらう方法で導入したのですが、保護者向けの案内チラシ作成から納品までスムーズに進めることができました 。案内チラシもすぐに作成していただいたので、3月25日にあった新入生入学予定者登校日には、 EC サイトの説明とともに保護者の方へ案内チラシを配ることができました。EC サイトでの購入方法については、チラシに丁寧な説明がありましたし、サイトに説明動画があったので、わからない人はそれを見て申し込みをしてくれたと思います。その後は、キッティング作業を行っていただき、予定通り4月20日には納品していただきました。初めての導入で何もわからなかったので、全て営業の方のアドバイス通りに進めました。EC サイトを使用した端末導入や、管理番号に学籍番号を登録することで、何かあった場合も追跡できることなども教えていただきました。様々なアドバイスをいただきましたし、こちらの要望を全て聞いてくださり、結果的に県内で一番早く納品してもらうことができ、非常に満足しています。

様々な場面での Chromebook 活用

Google Meet ™ を活用したハイブリッド授業

首藤先生コロナ関係で 登校が難しい生徒に向けてのオンライン授業に活用しています。家族にコロナ陽性の方や、濃厚接触の方がいると登校が難しいので、学びの保障のためにオンライン授業を行っています。対象の生徒には、オンライン会議ツールの Google Meet (※6) を活用し、対面で行っている授業をリアルタイムで配信しています。質問や発言は、Google Meet 内のコメント欄でしてもらっています。小テストを実施する際も Google フォームを活用し、学校でも家でも同じ環境で小テストを受けてもらうことができます。

情報科で使う 端末を WindowsPC から Chromebook に

首藤先生他には、情報の授業でも Chromebook を活用しています。 2021年までパソコン教室では Windows PC を使っていましたが、Chromebook に慣れてもらうため、2022年度からは Chromebook を使用しています。 2、3年生はまだ Chromebook を導入していないので、そのまま Windows PC を 利用しているのですが、1年生は完全に Chromebook に移行しました。

自主的に学び、授業での活用を進める教員

首藤先生総合探求のフィールドワークなどで Chromebook を活用しています。フィールドワークは、Wi-Fi がない環境で行うのでネット等は使えませんが、動画や写真を撮ったり、ノート機能を使いコメントを記録したりしています。 Wi-Fi 環境があるところに戻れば 、ドライブ にアップロードして集約し、Google スライド ™ (※7) を活用してプレゼンの作成などを行っています。また、各教科の授業でも Chromebook を活用しており、私が知っている中では地歴公民、英語、国語の先生は毎時間活用してくれています。全て私から教えたというわけではなく、先生方が Chromebook の本を購入されるなど、各自で得た知識を先生同士で教え合ったりしています。

首藤先生最初のきっかけは、私が県の講習で得た知識を共有したことでしたが、一度使 い始めればどんどん活用が広がっていくようです 。

Chromebook を活用した授業の様子

Google Classroom を活用した長期休暇中の健康観察

首藤先生あとは、長期休暇中の健康観察にも Classroom (※8) を 活用しています。学校が始まる午前8時半に、Classroom から Google Meet に参加してもらい、生徒の体調や今日の予定などを各クラスの担任が聞いています。 Chromebook を持っている1学年だけでなく、他の学年でも、生徒が所有するスマートフォンを利用して同じように Classroom での 健康観察が始まりました。

Chromebook 活用のための取り組み

Chromebook の活用を短期間で推進できた理由とは?

首藤先生勢いで進めたことが良かったのかもしれません。先生方に「これからはICTが 主流になるので、従来の方法に ICT を少しずつ加えましょう」と話したり、中学生に向けた学校紹介で「1年生は Chromebook を使って勉強している」と案内していたので、Chromebook を使わざるを得ない状況になっていたのだと思います。先生方も当初は Chromebook 活用に苦労していましたが、使っていくうちにどんどん活用が進み、いつの間にか私が驚くレベルまで活用されています。1 年生の端末活用は予想以上です。

県の研修で得た知識を校内に共有

首藤先生宮崎県の特に北部には、都市部と違いあまり学習機関がありません。予備校もなく、塾は小中学生向けが多く、高校生に教えられる人が教員以外はほとんどいないという現状です。そこで、都市部と地方の差を埋めるためには ICT を活用するしかないと考え、都市部と同じ環境を地方にも作るために、校内に34名の教員からなる ICT 推進委員を発足しました。私が県の講習で得た知識をまず ICT 推進委員の先生方に伝え、他の先生方にも共有すべき内容であれば、職員会議で共有しています。そして、職員会議後に時間を作ってもらい、職員全員が参加する研修を行っています。

首藤先生県の研修で教わった ICT に関する多くのことを知っていただきたいので、全員に参加してもらい、一斉にトライ&エラーを楽しみながら取り組んでもらっています。ICT 推進委員の忙しさを他の先生方も理解してくれているので、手間がかからないよう協力してくれます。

首藤先生試用で iPad を活用していた頃は、AirPlay の繋ぎ方のような基本的な操作方法を研修で教えていました。 Chromebook を導入してからは、Chromebook の操作方法や、Google Workspace についての研修を行いました。閲覧権限を与える方法や、Classroom での 配布方法など、私が得た知識は全て校内に共有しています。先生方は研修で得た知識を活用に役立ててくださっています。

生徒が主体となって活動する ICT委員会

首藤先生1年生で構成される ICT 委員会を立ち上げました。情報の授業で、 ICT 委員会立ち上げに協力してくれる生徒はいないか聞いたところ、7 名の生徒が希望してくれました。 上手く ICT を活用している学校は、ICT に長けた生徒を取り込んでいると、ミカサ商事さんの営業の方からアドバイスを頂き、参考にさせていただきました。

首藤先生オープンスクールで放映する学校紹介の動画を作成してくれました。テロップを入れたり、 BGM に合った映像や写真を使い、私達教員にはない感覚で生徒が作ってくれました。学校紹介の動画をみた中学生や保護者から、「他の高校では見ない映像でした。」「知りたいことを知ることができました。」というコメントを頂きました。動画作りにも Chromebook を活用しています。ICT 委員会 はほとんど生徒が主体となって活動してくれています。今度の文化祭は無観客で開催するため、保護者向けに生徒の作品を集約したものを公開しようと計画しています。

首藤様とICT 委員の生徒達

宮崎県立日向高等学校の今後の展望

自主性を重視しながら進める ICT活用

首藤先生ますます ICT 化が加速していくと思うので、乗り遅れないよう上手く活用していきたいと考えています。無理に使うのではなく、試行錯誤して、楽しみながら使っていくことが一番大事だと思っています。 ICT が苦手な生徒に無理矢理使わせようとしても離れていくだけだと思います。失敗していいので、教員にも生徒にも楽しみながら使ってもらい、新しい発見をして欲しいです。 ICTを使える人にとっては当たり前のことでも、生徒達本人には新しい発見になるので、こういうことができるということを共有しながら、上手く活用していきたいと思っています。

首藤先生プログラミングを行っていきたいと考えています。プログラミングは情報の授業に限らず、様々な場面で必要になります。今はまだ、ICT の 触りの楽しい部分しか生徒は知りません。今後、より専門的なことをする際に、それに対応できる力を生徒には身につけてもらいたいと考えています。対応力を身につけることができれば、社会に出たときに必ず役に立ちます。私は情報の授業で 「 ITに使われる 側ではなく、使う側になりなさい。」とよく話しています。使う側になるためにはやはり知識が必要なので、プログラミングやアプリケーションソフトに関する知識をつけていけるように、この1人1台端末を上手く活用していきたいと思っています。

(2022年8月29日取材)

まとめ

学習者用端末として1人1台の Chromebook を導入し、生徒達の将来を見据えながら端末活用を進められる宮崎県立日向高等学校様。授業や課題提出、長期休暇中の活用のお話しから、教職員様、生徒様ともにICT を積極的に 活用されているご様子が伝わります。このたびは貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

Google for Education™ 正規販売パートナー ミカサ商事株式会社